成長の秘策ゴチになります!

HOST

株式会社ベネフィット・ワン
代表取締役社長

白石 徳生氏

鈴与株式会社
代表取締役社長

鈴木 健一郎氏

GUEST

Guest Profile

鈴木 健一郎(すずき・けんいちろう)

1975年生まれ。2000年3月、早稲田大学社会科学部卒業。同4月、日本郵船入社、リーマンショックを経験した後、09年3月退社。同4月、鈴与取締役(常勤)となる。常務取締役としてグループ食品事業担当、ロジスティクス事業本部長委嘱を務め、専務取締役を経て、15年11月、代表取締役に就任。現在、鈴与ホールディングス代表取締役社長なども兼務している。

第40回「現場力・課題解決力・卓越専門性」を磨き、競争優位を確立する

1.祖業は 江戸時代創業の 回漕問屋

実は御社について、静岡を代表する企業で、物流事業をされていること以外、ほとんど知らないんですよ。今日は、御社の事業について教えてもらえますか。

白石社長とはふだんはそんな話、一切しませんからね。そもそもは1801年(享和元年)創業の回漕問屋です。当時は特許問屋制度でしたが、清水港から富士川を利用して馬で船を引っ張って、塩、海産物などを上流にある甲府まで運んで商売していました。下りで甲府から米を運び、江戸まで持って行ったりもして、いまでいえば卸問屋の機能に近いでしょうか。そこから乙仲業(定期船貨物の取次)を始め、物流事業を本格化しました。現在も物流が中核事業です。輸入であれば、通関から、倉庫で保管して、全国に流通させるまで一貫して対応できるのが当社の強みです。いまは物流そのものは委託(3PL)が中心になっていますが、物流鳥瞰図をつくって、物流の全体像を見える化し、どこにムダがあるのかをあぶり出し、全体最適を図って、コストの削減と物流品質向上に貢献するというモデルを構築しています。

そういえば、この1、2年、経営者仲間との会話のなかで物流がキーワードになっています。とくにECの分野では、これから先、物流が勝負を分ける、もっともよい物流を押さえたところが勝ち残れると。

物流の世界は、業界外の人からすると、いろいろな機能があってわかりにくい、というのもあると思います。少し前までは、海貨・倉庫・運送といった機能ごとに分化する方向だったのですが、最近では全体を統合していく流れになっています。ひとつのプレイヤーが3PLとして、分業から統合へと進化してきているのです。

そうなってくると、物流の現場も大きく変わりますね。事故を起こさないとか、作業の効率性をあげるとかといった、日々のオペレーション中心から、経営戦略としての物流が重要になってくる。ところで御社の経営戦略は、どのように立てられていますか。

経営事業戦略の構想は自分がやり、そのための元ネタとなるファクトファインディングは、役員や社員から集めています。その後、戦略をつくって具現化や実行のための指示を出し、その進捗をモニタリングし、さらに指示を出す、という流れで進めています。

2.物流はまだまだアナログ DXの前に、仕事の見える化

最近はDX、デジタルトランスフォーメーションが叫ばれています。当社でも、各事業部から精鋭を集めて、DX推進室を立ち上げました。

そうなんですか。当社でも考えていますが、物流事業はまだまだアナログ。帳票のプリントアウトなど、紙ベースでいまだに動いています。デジタル化を進めるには一気に進めないと難しいだろうなという思いがあります。オペレーションの100%デジタル化には、少し時間がかかるでしょうが、取り組んでいきます。

うちの営業は、ずっと義理人情中心の、昭和の営業スタイルでやってきました。でも、そういうやり方は通用しなくなる。そう気持ちを切り替えて、電話セールスやテレビ会議に舵を切っています。もうひとつ社員の働き方でいうと、この一年で労基関係が一気に厳しくなって、サービス残業などもってのほか、ちょっとしたことでブラック企業の烙印まで押される時代になりました。こうした動きに御社ではどう対応されていますか。

仕事の見える化、労働時間の見える化を徹底しています。もっとも根本には人手不足があることはわかっていますから、待遇を見直して採用を強化しています。

経営者は基本的にはケチですから、とかく人の採用をする前に、生産性のアップを目標にしてしまう。でもその多くが、現場に無理がたたって、生産性アップにつながらないばかりか、貴重な人材までも辞めていってしまう。そうなると泥沼です。

当社の場合は、本来、管理すべき者が荷物のピッキングに入ったり、やり繰りして、本来果たすべき仕事に手が回らないという状況でした。コストがかかっても、人を増やして正常な環境に戻すのが先決という判断です。そのうえで、生産性を上げるために個々の役割の明確化、無駄な業務の整理を含む働き方改革を進めています。

ところで社長に就任してどのくらいになりましたか。

3年です。この間、事業環境は激変しましたが、事業そのものは順調に成長してきたこともあり、1年ほど前から人が足りないことが顕著に表れてきました。

3.「共生(ともいき)」と中長期経営計画で グループ社員の価値観を共有

現在の事業規模はどのくらいですか。

グループ全体で売上げは約4000億円。従業員数は、グループ企業約140社で1万5000人規模になりました。

事業内容も多岐にわたっていますね。

物流のほか、商社機能としての商流、建設・警備、食品、情報、航空、地域開発(エスパルスほか)の7つの事業グループがあります。多角的に事業を展開しているおかげで、幅広いネットワークから情報が集まってきます。異業種からの気づきも多く、グループ事業経営のメリットを感じています。

事業領域はまだまだ拡大する方針ですか。

これ以上の拡大は考えていません。それよりも既存事業をもっと太く強くしていきたい。現在、もっとも売上げ規模が大きいのが物流事業ですが、約1400億円規模で、業界としては中堅レベル。これを大手グループ並みの2000億円レベルに、まずはもっていきたい。食品事業も売上げ約300億円であり、さらに育てていきたい。

事業領域も幅広く、従業員数1万5000人となると、人のマネジメントはかなり大変だと思うのですが。

正直、一番の課題だと思っています。そのためには経営理念、ビジョンの共有が重要ですが、当社グループには、経営の拠り所であり、お客様や地域社会を結びつける精神的基盤でもある「共生(ともいき)」という考え方があります。また、2016年からグループ全体の中長期経営計画「Thorough Preparation For 2020」を進めており、グループとして、競争優位の確立と安定収益源の積み上げを掲げ、その実現に向けて「現場力」「課題解決力」「卓越専門性」を強化していくことを、全社で共有することで、ビジネス的な価値観の共有もできると考えています。

なるほど、そういうことですか。多岐にわたる事業展開で、日々、お忙しいでしょうが、頑張ってください。本日はありがとうございました。

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