株式会社バリューワン 高桑 慎介

Guest Profile

高桑慎介(たかくわ・しんすけ)

1978年東京都生まれ。2004年、株式会社クラブネッツに入社。執行役員、東日本営業本部 本部長、上席執行役員モバイルソリューション事業本部長を経て、16年7月に株式会社バリューワンを設立。代表取締役社長に就任する。

特集スマートデバイスでO2Oを進化させ パートナー企業とともに成長をめざす

1.拡大するO2O販促市場を ますます盛り上げる

O2O販促といえば、「ネットとリアルを行ったり来たりし、スマートフォンを活用した情報収集や、SNS上の購入者の声を参考にしながら、日常的に買い物をする消費者に対して、キャンペーン案内などのプッシュ通知やデジタルクーポンの配布などで購買行動を促すこと」であり、いまでこそ当たり前のようにその効果が語られるようになった。
 しかし、いまから10数年前、いわゆるガラケーが主流の時代に、いち早く携帯電話によるネットと実店舗を結ぶ販促に注目し、事業として展開してきたのがバリューワンだ。
 同社は、共通ポイントサービス「CNポイント」を運営するクラブネッツの「モバイルソリューション事業本部」を母体に、2016年7月、現社長の高桑慎介が中心となって分社化した。
「これまで、O2O販促の運用サービスに長く関わってきた。お取引企業は、大手企業・中小規模店舗、チェーン店舗、商業施設等、規模も業種も様々で、幅広くご利用いただいている。当社ではシステムだけでなく、10年以上の経験に基づくモバイル・オンラインを活用した販促ノウハウや運用サポートを含めて、トータルにソリューションを提供してきた」(高桑社長)
 アプリ作成システム「Applimover(アプリムーバ―)」、顧客管理システム「mailmover(メールムーバ―)」、O2Oキャンペーン支援、オウンドメディア運用支援、QRコード決済サービス「StarPay」などのサービスラインアップを展開。グループ全体で展開しているLINE公式アカウント(旧LINE@)代理店としては全国でも有数の実績をあげている。
 これら同社サービスの累積導入社数は3300社以上、累積導入店舗数は1万5700店舗以上になる。
 インターネット広告大手サイバーエージェントの調べによれば、2019年の店舗集客型デジタル広告(=O2O広告)市場は前年比約2倍の405億円、24年には19年比6・4倍の2586億円規模に達するとされており、今後も成長市場として注目されている。バリューワンは、この市場の成長性を他社に先んじて感じ取っていたのだろう。

2.パートナー企業の戦略策定、 教育などもサポート

O2O販促の運用サービス展開にあたっては、社内営業チームによる顧客開拓のほかに、オフラインメディア(折込チラシ、フリーペーパー、新聞、雑誌、タウン誌、屋外広告など)を既存事業とする各地域の企業とパートナーシップを組み、同社のサービスをOEM提供している。
 パートナー企業は、印刷会社、システム会社、WEB制作会社、ポータル運営会社から、地域媒体社、求人媒体社、新聞社、広告代理店、美容商材卸会社、酒卸会社、ガソリンスタンド業界など多岐にわたる。パートナー企業とお互いの“強みを活かし合う”提携スキームでOEM展開し、O2O販促事業をさらに拡大している。
 またパートナー企業との提携については、レベニューシェア的な取り組みも含まれている。そのため、同社ではパートナー開拓はもちろん、パートナーの戦略づくりから研修実施、営業同行などを行なうサポートにも力を注いでいる。
「われわれのアライアンスの考え方は、システムやサービスを提供して終わりではない。これまでに蓄積してきたO2O販促の運用ノウハウを共有するだけでなく、営業展開における成功ノウハウの共有やサポートもきっちり行なっている。今後もパートナー企業と一緒に成長していきたい」
 バリューワンが展開するO2O運用サービスは、継続的に利用し続けていける商材だからこそ、長期的な見通しが立つ売上げを構築できるストックビジネスだ。パートナー企業とのアライアンスを含めてこれまでに積み上げてきた実績は、ストックビジネスとして、同社の基盤を固めるのに十分なボリュームに育ってきているという。

3.新たな柱づくりに積極的に着手 圧倒的スピードで収益化図る

 現在のところ、O2O販促の運用サービスが同社の事業の中心だが、第2、第3の柱づくりにも積極的に着手している。
 ひとつが、求人媒体社とのパートナーシップによるリクルートサイトCMS(コンテンツ管理システム)。採用活動に力を入れている企業向けに、求人情報専門の検索エンジン「Indeed」や求人検索機能「Googleしごと検索」と連携した求人専用特設サイトを構築するサービスだ。これは「O2O販促のCMSとして展開していたサービスを求人分野に応用できないか」というパートナー企業の声から始まったものだ。
「19年7月時点で掲載数約2万8000件にのぼる。この半年で4割以上の増加だ。立ち上げて2年だが、すでに収益化している」
 もうひとつが、新規事業立ち上げのためのプロジェクトチームの結成だ。
「半期で、4~5チームを立ち上げている。社員は通常業務と並行して自らプロジェクトに参画している。プロジェクトマネジメントやリーダーを経験することで成長にも繋がり、チームをまとめるよい学びの機会にもなる。常時、社内にチャレンジできる環境を用意しておきたい」
 高桑は、今後の事業を展開していくにあたり、三つの〝めざすべき姿”を社員全員に共有している。
 ひとつが「クライアントに必要とされ続ける会社」。
 次に「社員が生き生きしている会社」、そして「社員が家族や友人に誇れる会社」だ。
 社員全員がめざす姿をイメージできているからこそ、社内の雰囲気も明るい。
 今後も「世の中に支持されている」を指標として、100億円企業をめざし前進している。

TO PAGE TOP