成長の秘策ゴチになります!

HOST

株式会社ベネフィット・ワン
代表取締役社長

白石 徳生氏

株式会社ベクトル
代表取締役CEO

西江 肇司氏

GUEST

Guest Profile

西江 肇司(にしえ・けいじ)

1968年生まれ。関西学院大学在学中に起業し、92年卒業。翌93年に株式会社ベクトルを設立する。2000年に戦略PR中心に業態を転換し、アジア市場を次々と開拓。独立系のPR会社として業界トップとなり、12年3月、東証マザーズに上場。14年11月に東証一部へ市場変更。リリース配信サービスPR TIMES、WEBマーケティングを扱うシグナル、ビデオリリースNewsTVなどの子会社をグループに持ち、コミュニケーションサービスを実行できる体制を確立。PRとアドテクノロジーを組み合わせた最新のマーケティング手法を武器に、アジア全域におけるPRグループの形成を目指している。

第39回タレントキャスティング、戦略PR、 動画制作・配信はすべて自社展開 テレビCMに頼らず成果を上げる、広告業界のSPA

1.宣伝予算でPR 新たな事業モデルを構築

西江さんは学生時代に起業されたんですよね?

はい。当時はサークル雑誌を作ったり、学生向けパーティを年間100本開催したりしていました。卒業後は、セールスプロモーションの仕事を請けつつ、方向性を模索していました。そんななか、テレビ番組内でクライアントを紹介してもらえるという話で、PR会社を利用したのですが、放送されなかったことがありました。当然、クライアントは納得しませんから、自分でテレビ局へ出向いてどうにかするしかなかった。それをきっかけに、テレビのタイアップ企画や番組制作をやるようになりました。

いろいろやっていたなかで、PRで行こうと決めたきっかけは?

そのころのPRは広報の下請けの仕事です。そこで、広報予算とは桁が違う「宣伝予算でPRをやりませんか?」と営業先に提案して回りました。「年間に1000万円の予算があれば、これだけの成果を出せる」と具体的なモデルを作っているとき、これなら「何社の仕事を請ければ上場できる」という具体的なビジョンが見えました。2000年頃には、PRでナンバーワンになろうと決意していました。

2.アドテク×PRで ピンポイントに訴求

次にステージアップを実感されたのは、いつですか?

実は、2000年頃から約10年間体調を崩していたので、本格的に復帰したのは、2012年の上場前くらいですね。海外に進出しようとまず中国・上海、香港などの会社のM&Aを考えました。海外のPR会社はPRに限定せず、幅広く合理的にビジネスをしていることに気づき、わが社も、日本のPR会社が不得意だったソーシャルメディアやアドテク(Ad Technology)などのITとPRをうまく融合させていきました。世の中のモノの広め方が広告から別の形に変わったのを実感していましたから、テレビの仕事をしていて動画が得意だったこともあり、動画のトレーラー(映画の予告編のようなもの)に特化しました。
 僕はローリングストーンズが好きなのですが、昔は彼らが世界ツアーをやる場合、何十億円というお金をかけた広告を打っていました。でもいまは、ヨーロッパツアーの開催情報はネットニュースですぐに伝わる。ニュースそのものはタダも同然です。しかも、動画が付いているので、クリックすればトレーラーになっていて、ツアースケジュールなどがわかるんです。つまり、PR面から考えると8割がタダなんですよ。残りの2割をローリングストーンズファンにターゲティングすれば、情報はお金をかけなくとも伝わるんですね。この手法に必要なニュース、PR、動画はすべて当社で展開できるものなんです。
 日本の広告業界は分業が主流ですから、〝広告業界におけるZARAやユニクロ〟のように、一気通貫のファストコミュニケーションカンパニーを目指せば、十分商機があると思いました。

従来の広告の枠を超えたオールラウンド型の広告会社という印象ですね。ITを駆使してお金をかけずにピンポイントで狙っていくスタイルですが、大手広告代理店やネット広告代理店との大きな違いは何ですか?

まず、メインクライアントが違います。大手広告代理店がゼネコンなどをクライアントにするとすれば、わが社は予算3万円から5000万円くらいまでの企業をターゲットにしたインフラ・プラットフォームカンパニーです。それに、広告制作の考え方も違いますね。わが社はモノを広めるのにそんなにお金をかける必要はないと思っているので、CPA(Cost Per Action/Cost Per Acquisition)ではなく、キーワードから戦略を考えます。
 情報は「ニュースリリース→PR→ビデオリリース」の流れで広まります。戦略は必要ですが、極端な話、クリエイティブ要素は必要ないんです。近年は、タレントを起用してもテレビCMを流さないことも多い。最近手がけた「識学」のPRでは、要潤さん出演の動画をソーシャルメディアとタクシーで流しただけで、1ヵ月で1年分の売上げを達成しました。いくらテレビCMにお金をかけても、ターゲットになる経営者がテレビを見ていなければ意味がないんですね。動画にはインパクトのある「キービジュアル」、一度聞いたら忘れないような「キーワード」を使用することで、それを見たユーザーは検索を始めます。彼らがクライアントのホームページに来た瞬間に、なじみのある動画が立ちあがり、ホームページ上によく知ったタレントがいる。こうしたタレント起用により売上げはもちろん、リクルーティングの面でも効果を上げています。

3.お客様視点の 一気通貫企業を目指す

それは西江さんが陣頭指揮で進めているんですか。

今は前例がないので、まず自分がやって見せていますが、やっていることはシンプルなので、わが社の人間ならできると思います。

御社の人材マネジメントのポイントは何ですか?

計画年俸制という形をとっているので、がんばればその分収入が上がります。実力主義なのでモチベーションのない社員はいませんね。

最後に、今後の目標を教えてください。

いまは、①10個の上場会社を作ること、②100社以上への投資、③お客様のことを考えた、一気通貫のファストコミュニケーションカンパニーの実現の三つですね。ほぼ実現の目処が立っていますよ。

ワクワクするようなお話、ありがとうございました。

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