成長の秘策ゴチになります!

HOST

株式会社ベネフィット・ワン
代表取締役社長

白石 徳生氏

錦秀会グループ
CEO

籔本 雅巳氏

GUEST

Guest Profile

籔本 雅巳(やぶもと・まさみ)

1960年生まれ。大阪大学医学部大学院卒業。醫学博士。95年医療法人錦秀会理事長に就任。関西を拠点に「錦秀会グループ」として3医療法人、1社会福祉法人で6000床のベッドを擁す。また、PET医療センター、人口関節センターや公益財団法人、NPO法人、学校法人の理事長として難病研究、健康寿命増進、教育にも力を注ぎ、医療界にパイオニア的改革をもたらす。現在、錦秀会グループCEO。

第38回「やさしく“生命”をまもる」を理念に M&Aにより病院規模を拡大

1.救急病院からの転換に 父の怒り心頭

まずは、病院の沿革を教えてください。

父が1957年に、救急病院として40床の阪和病院を開院したのが始まりです。当時は救急患者を扱わない病院も多く、一般病院より格下に見られていました。大阪各地から救急患者を受け入れ、「救急なら阪和だ」と評判になり1500床まで大きくなったんです。そして、私が34歳のときに経営を引き継ぎました。

急に引き継ぐことになったのですか?

いいえ。父は70歳で引退すると決めていたので、その頃には副理事として従事していました。ただ私は、「救急医療は公的なところが台頭しているから、うちのような民間病院では太刀打ちできない。これからは、高齢者対応の慢性期医療に力を入れるべきだ」と考えていたんです。そのため、経営については、毎日のように喧嘩になりましたね。ガラスの灰皿を投げつけられたこともありますよ。なので、両親が不在のときに救急はもうやらないという届けを出す強行にでたんです。

大丈夫だったんですか?

それはもう、怒り心頭でしたね。ただ、半年後、実績が出てきたんです。収入は半減したのですが、利益が5割増しになったんです。薬の量や人件費が減ったうえに、とても需要がある分野だったんですね。その結果をみて、父の態度もコロっと変わりました(笑)。

救急病院からの転換ですね。

そして病院を維持しつつ、大阪の一等地である帝塚山に特別養護老人ホームを作ることにしました。当時は、地元民からかなり反発がありましたが、20年経ったいまでは入所希望者が殺到しています。

2.精神疾患に肉体的な衰え 高齢者対応のトータルケア

病院の規模を拡大する場合、どういう方法がよいのでしょうか。

病院の場合は、基準病床数制度があるのでМ&Aしかないでしょうね。当院のМ&Aの相手の多くは精神病院です。認知症患者のケアとしても精神病院は必要だと考えているので。現在では、統合失調症や双極性障害などは、薬で治るため外来で十分ですが、昔から長期入院されていた方は行き場がないという問題がありました。また、精神疾患だけでなく年齢的に消化器系など肉体的な衰えもあり、精神病の専門医だけでは手に負えないという問題も。そういった状況を知り、内科医を増やすなどしてトータルケアをできるようにしました。

必要とされる分野へシフトしているんですね。ところで、М&Aした病院によっては、業務基準や医療レベルなどに差が生じると思いますが、どのように対処しているのですか。

オーナーが代わっただけで事務局長や医師はそのままなので、こちらの方式に徐々に合わせてもらうようにしています。月に一度の運営委員会では顔を合わせるので、グループの方針である「やさしく“生命(いのち)”をまもる」という理念も根付いていると実感しています。

病院として力を入れていることは、何ですか。

HIМC(阪和インテリジェント医療センター)という施設で、PET/CT検査を使用した最先端の検査の研究に力を入れています。検査試薬そのものを自分たちで開発しています。

3.3つの営業部隊の働きで 医療と介護の連携を図る

経営面では、どのような工夫をされていますか。

3つの営業部隊を設けています。老人ホームへの搬送部隊、他院へ当院を紹介する営業部隊、それら2つの部隊を調整する搬送支援部隊です。例えば、急性期病院だけの場合、退院した後、どこに行けばいいかわからない患者さんがいらっしゃいます。そうならないようにグループ会社の利点を生かして、救急から回復期、慢性期、療養期の流れをスムーズにすることを心掛けています。

医療と介護を隔てないんですね。

そうです。また、医療保険制度は2年に一回、介護保険制度は3年に一回変わり、6年に一回両方の大変革を迎えるため、状況を先読みしなければなりません。しかも、日本人の人口は30年後3千万人減ると予想されています。高齢者だけが減ると思われがちですが、子どもの人口も減ります。1億人を下回ったときに日本はどうするのか、そこを考えていかなければなりません。

介護助手の人員不足も深刻化していますが、人材確保の対策はされていますか。

中国、フィリピン、ベトナムなどから介護助手や看護学校を希望する人を迎え入れています。技能実習で3年、資格をとれば5年は日本で働けるので、専門知識だけでなく、日本人らしいサービスやノウハウも同時に身に付けてもらいたいと考えています。また、辞めさせない対策としては、福利厚生を手厚くするなどしています。御社には当社専用のメニューをつくっていただいています。

弊社のサービスを導入いただきありがとうございます(笑)。最後に、今後の展望を教えてください。

ホールディングの本社がシンガポールにあるので、そこから東へ進出して最後は日本へ戻って錦を飾りたいと考えています。実はグループ名(錦秀会)の由来もそこからきているんですよ。また、海外からの人材育成を継続していけば介護補助の人材も増え、さらには海外の患者数の増加も見込めると考えています。

なるほど。社名の由来ってそういうことだったんですね。本日はありがとうございました。

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