ユナイテッド株式会社 金子陽三

Guest Profile

金子 陽三(かねこ・ようぞう)

1976年群馬県生まれ。99年慶應義塾大学総合政策学部卒業後、リーマン・ブラザーズ証券会社投資銀行本部にて金融機関の資金調達や事業法人のM&Aに従事。その後、米国シリコンバレーのVCドレーパー・フィッシャー・ジャーベットソンを経て、2002年インキュベーション・オフィスを運営する(株) アップステアーズを設立し代表取締役に就任。2004年に同社をネットエイジキャピタルパートナーズ (株)(現 ユナイテッド(株))へ売却。 2007年、モーションビート(株) (現 ユナイテッド(株))取締役兼執行役COO兼投資事業本部長に就任。2009年2月より当社代表執行役社長を経て、2012年12月スパイアと合併し、ユナイテッド(株)代表取締役社長COOに就任(現任)。

特集世界的大ヒットアプリを生み出した合併会社のユニークな融和策

1.海外で大流行、1500万ダウンロードの怪物アプリで躍進

 スマートフォンのホーム画面を着せ替えることができるアプリ『CocoPPa』を知っているだろうか。無料ということもあり、ユーザーがユーザーをよんで、9月30日時点で1500万ダウンロードを達成。うち、海外が83%というグローバルなアプリを作って注目されているのがユナイテッド株式会社である。代表取締役社長COOの金子陽三によると、ユナイテッドの事業は大きく2つある。

 「1つは、スマホアプリ事業です。『CocoPPa』をはじめさまざまなアプリをリリースしています。『CocoPPa』以外にもスマートフォンメディア事業をおこなっており、着実に利益を出しています。もう1つは、RTB広告です」

 RTB広告とは、訪問するユーザーの特性を分析し、条件が合う複数の広告主に広告枠の情報を提示し、広告主が金額を入札して、オークションによってその広告枠を落札するシステムだ。新時代の広告の形の1つであり、これからの発展が期待できる事業だ。

 短期・中期的なスマホアプリ、中期・長期的なRTB広告と合理的な形で事業を広げるユナイテッドだが、実はこの会社、昨年の12月に大きな変身を遂げたばかりである。金子(現COO)が経営するモーションビート株式会社が早川与規(現代表取締役会長CEO)の株式会社スパイアを吸収合併して、新たにユナイテッド株式会社となった。RTBなどの広告の仕組みと小さいながらもスマホのメディアを作っていたモーションビートとスマホメディアと広告の運用を行なっていたスパイア。メディアと仕組みと運用が三位一体となることでさらなる展開が期待できると踏んだのだ。

2.合併前からの手厚いコミュニケーションで問題は起こらず

 ただ、合併と聞くと2つの文化が融合するがゆえに、些末な喧嘩や縄張り争いが起こることを想像しがちだが、そういった事は起きていない。それは、合併前の取り組みにポイントがあった。合併前の10月にアナウンスを出し、11月からオフィス統合。事業部内で人員シャッフルし、お互いが抱えていた問題を出し合うなどしてスムーズな合併と改善を目指した。

「『旧◯◯派』とかは気にしないように心がけ、経営陣から社員に伝わっていった」と金子は振り返る。

 また、合併後のコミュニケーションも怠らない。CEO、COOが社員を3人ほど連れて双方を知る「ソウシルランチ」や月1回の誕生会「ユナイト」、「同郷の人で行く」などの条件を作って給料日前のランチ代を給付する「交流ランチ」という制度もある。これらの取り組みが、大幅な人事環境の変化の潤滑油となった。ただし、「合併があったから意識したが、本来はありなしに関わらず必要なこと」とも金子は付け加えた。

 一心同体となり、飛躍するユナイテッド。3年で日本を代表するインターネット会社に、そして世界を代表する会社を目指している。ただし、そこで明確に何をやるかは決めていない。

「ゲーム会社ならゲームと言える。しかし、弊社のような事業形態で言いきることはできない。ただ、ユーザーとの接点をもつサービスをやっていきたい」(金子)

 面白い会社がまた1つ増えた。

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