成長の秘策ゴチになります!

HOST

株式会社ベネフィット・ワン
代表取締役社長

白石 徳生氏

スポーツクラブNAS株式会社
代表取締役社長

柴山良成氏

GUEST

Guest Profile

柴山良成(しばやま・よしなり)

1960年生まれ。84年、大学卒業後、大和団地入社(2001年に大和ハウス工業に吸収合併)。宅地造成、不動産の営業、受注請け負いなどに携わる。97年神奈川中央支店支店長に昇格。2006年、45歳で執行役員に就任。09年6月、日本体育施設運営株式会社(現スポーツクラブNAS株式会社)の社長となり、同社の再建を委ねられる。同社黒字化後、13年10月に大和リゾート株式会社の社長に就任。その後、17年4月ダイワロイヤルゴルフ株式会社社長、同年6月にはダイワロイヤルホテルシティ株式会社を創業、社長に就任した。現在、4社の代表取締役社長を務めている。

第43回経営者の言葉をそのまま流しても全社には伝わらない。 階層に合せて、わかりやすく伝えることが重要だ

1.20代のころの仕事は 100万円から100億円まで

この間、1年ぶりに地元のNASに行ってきました。大賑わいでしたが、スタッフが私のことをしっかり覚えていてくれて、とてもよくしてれくました。

でもね、NASはまだまだ変わり続けなくちゃいけない。11世紀ごろに起源をもつホテルはサービス業としてほぼ完成されていますが、スポーツクラブの歴史はせいぜい100年程度、まだ完成した姿にはなっていません。だから、現状に甘んじることなく変化し続けることが大切だと、いつも言ってるんですよ。

そうなんですか。それではさっそく本題に入らせていただきます。まず、あらためて柴山さんのいまに至るまでのキャリアを教えていただけますか。

そうですね。大学を卒業して、1984年に不動産開発会社である大和団地に入社しました。大和ハウス工業(以下、大和ハウス)の兄弟会社で、宅地造成を担当しました。「山を買って、宅地をつくって、街をつくる」という仕事です。当時「ネオポリス」という名称で各地につくり始めていて、私が関わったのが「西桑名ネオポリス」(三重県)でした。平均70坪の宅地を5000区画つくり、その周囲に小学校、中学校、公園、さらにはスーパーの用地を用意し計画、人口2万人の街をつくるというような大掛かりなものでした。

ものすごい規模ですね。

ええ、すぐにバブルがやってきて、うまいこと全部売れました。それからマンションや戸建ての販売、ゼネコン的なことを経験して、20代のころは、ぼくの仕事は「100万円から100億円まで」と言って営業してました。たしかに、勉強部屋の増築から、工場や物流倉庫の建設までありましたから、施工金額でいえば、そういうことになりますからね。

すると、バブルの前後を経験されたわけですね。不動産業界といえばバブルです。

中にいると、実感はないんですよ。バブル前、真っ只中、バブル後、そしていまも、なんら変わったという感覚はありません。モノの値段は上下し、不当な価格になっていましたが、大和ハウスにはほとんど影響なかったと思いますよ。

2.従業員の意識を変えた 「自分以外をすべて お客様と思いなさい」

そうなんですか。それでその後は。

36歳で神奈川中央支店の支店長になりました。最年少支店長でした。2006年には、45歳で執行役員マンション事業部長に就任、売上げ1500億円の組織を率いる立場になりました。執行役員の就任も最年少で。
 そうしているうちに、05年4月に、大和ハウスが日本体育施設運営(現在のNAS)の株式を取得して子会社にしました。ところが、当時は経営がうまくいっておらず、本格的に再建を図ることにしたんです。樋口会長(大和ハウス)に呼ばれまして「社長をやってくれ。3年で黒字の会社にしてくれ」と。3年たったら戻るつもりで引き受けました。

ですが、いまも社長を務めていらっしゃる。

そうなんですが、2年目にはスタッフみんなの力で黒字化を達成しました。実は、赤字を黒字にするのは簡単なんですよ。赤字は全員が「ダメ」とわかっているから、なんとかして(赤字を)減らそう、そうして黒字にしようとする。でもそこから、黒字(=利益)をもっと黒字にすることはたいへんです。何から手をつけたら良いのか、彼らにはわかりませんから。

それでどうされたのですか。

当人たちは気づいていないんですけれど、ルーティンのオペレーションが間違っていたので、それを正しい方向にもっていくことから始めました。ひとつはお客様との関係です。ぼくが店回りをすると、施設の説明をていねいにしてくれるのですが、専門用語ばかりで、専門知識のない人にはまったくわからないんです。たとえば「あのトレッドミルが好評で」「それって何?」「ランニングマシンのことですよ」という具合で、お客様に対しても上から目線で接していたんです。

どうやってその状況を変えられたんですか。

「自分以外をすべてお客様と思いなさい」と言い続けました。そうすると考えるじゃないですか、何かを伝えるにも、頼むにも、教えるにも。相手のことをよく考えてあげないと、何もできなくなってしまいますから。

3.お客様との直接的な接点 500万人が強みになる

なるほど。ひとつ教えてほしいのですが、柴山さんのように社長がアイデアをもっていると、社員が考えなくなるんじゃないですか。

そうなんだけど、ぼくは新しいことに対して、「No」はほとんどないんですよ。「法律を犯すこと」、「人を悲しませること」、「ぜったいに損をすること」、この3つ以外だったら何でもいいからもってこいと。ただ、だれかが新しいアイデアを出すと、「私もやろうと思ってました」「私もこういうことをやりたかった」と言う人が必ずいます、本当、頭にきますね。

社員が成長する環境づくりは難しいですよね。ところで柴山さんは、いま、グループ4社の社長をされています。従業員だけでも、相当な人数になると思うんですが、マネジメントの秘策を教えていただけますか。

従業員は4社で6000名を超えています。年度初めにその年のテーマを発表していまして、2019年度は「約束」「気付く」「変える」です。「約束」は『嘘のない経営』、「気付く」は『サービスの基本』、「変える」は『口だけでなく行動をとる』ということです。でもこれを社内に広めていくには、管理職が部下に同じことを言ってもダメなんですね。組織の階層レベルが違えば、それに合わせてわかりやすく伝えていかなければいけません。

今後の経営目標として掲げられているものはありますか。

2055年度、創立100周年に大和ハウスグループ全体で売上高10兆円が使命になっています。ぼくがみている4社は、売上規模(18年度実績約740億円)こそ微々たるものですが、お客様との直接的な接点が500万人以上あります。「大和ハウスグループはこんな会社なんだ」というユーザーイメージの構築に貢献できると考えています。

それだけのお客様との直接的な接点は、ビジネス上の強みになりますね。本日はありがとうございました。

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