株式会社ミックマック 稲葉 恵三

Guest Profile

稲葉 恵三(いなば・けいぞう)

1956 年福島県生まれ。サプリメント製造メーカー等を経て、86 年に株式会社ミックマック設立創業。その後オリジナル美容健康器具等の企画開発販売、自社ブランドにて広告宣伝まで一貫して行ない、販売プロモートを確立、約30 年間台湾にて製造を行なう。その実績により、今後の健康長寿市場を鑑み、バイオテクノロジーと漢方の知恵の先端国台湾ISOGREEN 社の総合代理店とし て販売展開中。

特集社長夫人を入口としたB to Bモデルで 『ISOGREEN北虫草』を 健康経営の一助に

1.2020年の需要を見込む 認知症予防市場

これまで高齢化問題が論じられるとき、キーワードのひとつが「2025年」だった。だが、2008年から厚生労働省の老人保健健康推進等事業で運営されている地域包括ケア研究会は、17年5月に発表した報告書の副題を「2040年に向けた挑戦」と付け、新たなゴールに変更した。25年から推計死亡者数のピークとなる40年までをどう乗り切るか。報告書はその道筋を示し、処方せんとして重視したのが予防である。

予防ニーズ対応の商品・サービスは続々と開発されているが、改めて〝国策〞として予防の重視が確認されたのだ。健康関連商品開発で30年の事業歴を持つミックマック社長・稲葉恵三は「商品化には3年かかるため、常に3年後の需要を予測して商品を開発している」と話すが、いまから3年後の2020年に、需要を見込んでいる市場は認知症予防である。

認知症予防に照準を当てた商材では、イチョウの葉エキスや、ココナツオイルを配合したサプリメントが続々と開発されている。この市場への本格参入を考える稲葉が着目した原材料は、北虫草(ほくちゅうそう)である。北虫草は冬虫夏草の一種で、台湾で人工培養されている。成分には、骨髄の造血機能を高める虫草素、脳浮腫や脳圧の改善作用で知られる虫草酸、免疫力を高める虫草多糖類などが含まれているという。

2.北虫草の栽培は 台湾の国策

この北虫草を配合したサプリメント『ISOGREEN北虫草』を開発したのが、免疫療法や遺伝子療法などの研究開発を行なうISOGREEN社(台湾・新北市)である。北虫草開発を統括する最高研究総監の林良平博士は、台湾国立大学微生物・生理学研究所名誉教授を務め、台湾で初めてクロレラの大量培養に成功した実績を持つ。

ミックマックはISOGREEN社と総合販売代理店契約を締結して、『ISOGREEN北虫草』の販売を進めている。

稲葉によると「台湾政府は国策としてガン治療に有効な免疫療法の研究を進めている。北虫草の栽培はその一環として、政府のバックアップで取り組まれたプロジェクトである。当然、エビデンスも取れている」という。

静宣大学(台中市)が北虫草を摂取したマウスと摂取しないマウスを対象に、脳部の海馬の組織切片を比較したところ、アルツハイマー病に罹患すると蓄積されるアミロイドβタンパク質が、摂取群で減少していることが明らかになった。また、日本の厚生労働省の指定検査機関である財団法人食品工業発展研究所(新竹市)が、北虫草の生理活性を研究した結果、抗炎症、抗酸化、血管新生の阻害(抗腫瘍効果)が認められた。製法特許も、14年に中華民国経済部智慧財産局から「北虫草の栽培方法」として認可されている。

『ISOGREEN北虫草』はミックマックにとって、単なる新商品ではない。同社は1986年の設立以降、『TRUE』ブランドで電動ヘアブラシやホームエステ機器、洗顔セット等健康関連商品を開発し、専門店、ドラッグストア、TVショッピング、通信販売などのチャネルで販売してきた。この間、株式上場を目指して資本政策にも着手したが、リーマンショックなどで頓挫してしまう。

3.リピート希望率 95 % クレームはゼロ

起死回生を図るための重点商品が『ISOGREEN北虫草』なのだが、目算はどうなのだろうか。

日本での販売に向けて2014年に北虫草(サナギタケ冬虫夏草)子実体粉末の輸入許可を取得し、14年に都営地下鉄や新聞広告でPR活動を展開し、15年にテストマーケティングを実施した。エステ関連商品のチャネルで約4000本を販売したところ、リピート希望率が95%、クレームはゼロという結果を得た。この結果を受けて、主にECサイトなどで販売しているが、新たにBtoBでの販売を仕掛ける戦略に売って出た。その突破口に据えたのは中小企業オーナー経営者の夫人である。「販売価格1万4800円の商品のリピーターになるには一定以上の購買力が必要で、しかも健康意識が高い層として社長夫人に着目した。夫人は自分の健康だけでなく、夫である社長の健康にも気を配っている。実際、社長が健康でなければ、会社経営にも健全に取り組めない」

社長夫人を対象にしたマーケティングでは、企業イベントへの参加やセミナーでの啓蒙を計画している。社長夫人をリピーターと
して獲得した後には、次のステップとして、社員の健康管理サポート用に普及させる方針だ。社員の健康増進を図る「健康経営」の実践がリターンをもたらすことは、ジョンソン・エンド・ジョンソンが世界各国のグループ企業250社・従業員約11万4000人を対象に実施した調査で実証されている。

調査会社インテージの推計によると、日本の健康食品・サプリメント市場規模は16 年度に1兆5716億円。健康食品・サプリメント利用者数は5784万人、国民の2人に1人が利用している計算で、1人当たり平均購入金額は2万7169円にのぼっている。

ミックマックが『ISOGREEN北虫草』により新たに構築を目指すBtoBモデルは、日本の健康食品・サプリメント市場をさらに一段階、大きく成長させる可能性を秘めている。

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