株式会社アイドマ・ホールディングス 三浦 陽平

Guest Profile

三浦 陽平(みうら・ようへい)

1983年広島県生まれ。大学卒業後、環境系ベンチャー企業、人材系ベンチャー企業を経て、2008年アイドマ・ホールディングス設立。現在、グループ会社に、人材開発・研修スクールを運営するアイドマ・トレーニング(12年2月設立)、「物語TV」運営のアイドマ・メディア(13年1月)、ミャンマーでオフショア開発事業を展開するアイドマ・ミャンマー(13年11月)がある。 《企業・法人データ》 株式会社アイドマ・ホールディングス 業 種 ● 営業代行、営業支援ソリューションなどの提供 設 立 ● 2008年12月 資本金 ● 1000万円 売上高 ● 5億1600万円(2014年8月度) 所在地 ● 東東京都豊島区池袋2-47-3 キウレイコンビル6F 電 話 ● 03-5985-8290 URL ● http://www.aidma-hd.jp/

特集新規顧客の開拓に独自のデータベースと在宅スタッフを活用営業を全面的にサポートする

1.商材やサービスごとに20案以上の営業プランを提案

 企業の営業活動をさまざまな形でサポートする「営業代行」が、いま改めて注目されている。営業部門を持たないベンチャー企業・IT企業はもとより、大手企業の利用も増えている。理由はコスト削減にとどまらない。目まぐるしく変化する経営環境にスピーディーに対応できることが大きな要素となっている。特に新規事業の立ち上げや新商品の販路開拓、テストマーケティングにおいて、ゼロから自前で営業部隊を構築するよりも、外部委託したほうが効率的なケースが少なくないからだ。

 そうした企業ニーズを取り込もうと、営業代行業者側も進化している。そんななかで、ベンチャーながら従来の営業代行とは一線を画した戦略で成長しているのが、アイドマ・ホールディングスだ。テレアポやダイレクト営業など営業代行の業務はさまざまだが、同社の場合、営業の前段階である営業企画から関わる点、しかも100%法人向け、BtoBを対象としたサービスに特化していることなどで他社との差別化を図っている。

 たとえば、ベンチャー企業、あるいは消費者向け商品を主力にしていた会社が新たに法人営業を始めたいといったときに、売り込み先の選定から、具体的な営業方法まで、営業プランを提案する。

 「取材を実施し、商材やサービスごとに営業プランを立て、10案以上のプランを提示するといったサービスを行なっています。最近の事例では、ウォーターサーバーを扱うお客さまから、自社営業とは別に、代理店網をつくりたいという依頼がありました。そこで不動産仲介会社やMR(医薬情報担当者)などにアプローチを行なうプランを20案ほど用意し、プランごとに電話営業を活用して効果を検証しました。MRの場合、全国の医療機関に出入りしていますので、ウォーターサーバーを医療分野に売り込める可能性があります。こうした営業面のプランニングまでを手がける会社はほとんどなく、ここに当社の最大の価値があります。当社はいわゆる営業代行ではなく、企画から実行まで行なう『外付けの営業部署』という感じでしょうか」
代表取締役社長の三浦陽平は自社の強みをこう説明する。

 顧客はIT関連を中心に、製造業、サービス業など多岐にわたる。主な顧客層は中小・ベンチャー企業だが、事業部単位で大手企業の仕事を請け負う例も少なくないという。現在、延べ約960社の顧客を抱え、問い合わせ件数は月間40社以上にのぼるという。

 コスト競争力も強味だ。「プランニングから実行までを含めて約20万円程度。外付けの営業部署をつくるのに、新人1人を採用する費用とほとんど変わりません」と三浦は自信を示す。

2.電話営業で集めた膨大なビッグデータをデータベースで一元管理

 不思議なのは、正社員約40人のベンチャー企業が、そうした多業種の、しかも、商材やサービスが違う企業の営業プランニングができるのかという点だ。実はここにこそ同社の最大の強みがある。独自に開発したデータベースシステムがそれだ。

 同社はもともと電話機1台でスタートした。要はテレアポ代行だったが、無名のベンチャーが電話をかけるだけでは同業他社に勝てるわけがない。

「そこでお客様の商材やサービスごとに成功可能性のあるプランを提案したら喜ばれるのではないかと考えたのです」

 着目したのが、電話営業で集めた潜在ニーズだ。電話をかけた企業からの断り文句などさまざまな反応のなかに、顕在化していない需要が眠っていることに気づいた。そこでその情報をデータベース化し、顧客企業の商品、サービスが売り込める可能性のある市場を測定できるシステムを構築したのだ。そのシステムには、いま現在毎月約12万件の電話営業による情報が蓄積され続けている。

「法人相手に自社で電話営業をして、成果をあげるのは難しいのが実状。なぜならマンパワーもかかるし、自社だけのマーケティングデータしか生かせないからです。当社はさまざま業種、企業のデータベースを一元管理しています。広告業界におけるビッグデータを活用したDMP(データマネジメントプラットフォーム)を、ダイレクトマーケティングで行なっているとイメージしていただければわかりやすいと思います」

 新たに、独自のクラウド型コールセンターシステム「TMO」と呼ばれるウェブサービスも始めた。これは電話営業のシステムを単品で販売するものだ。電話営業スタッフはすべて同システム上で電話をかけており、クライアントも稼働状況がTMO上でリアルタイムに把握できる。

「当社スタッフがどこから電話をしていても、お客様は社内からその状況を見ることができ、音声録音などの通話記録も聞けます。そのデータはクライアント企業内に残すことができるので、営業ノウハウとして自社内に蓄えられる」

 三浦は一連のシステム開発に約6000万円を投じた。この規模の会社で専属のシステム開発エンジニアを3人抱えているというから驚きである。

3.サービスの拡充に注力3年後メドに上場予定

 同社の営業支援サービスは、営業のプランニングから電話営業による検証、アポイント取得までが基本。そのあとの営業活動は原則的にクライアント自身が行なう。しかし、アポが取れても、受注まで持ち込むのは容易ではない。そこで、たとえば、営業に同席し、問題点を把握、分析、改善提案などのサポートを行なうプランも用意されている。

 今後は、集積したデータを活用し、そこに顧客がアクセスして、商品化する前のテストマーケティングができるプログラムを提供する計画。早ければ来年にもサービスを開始する予定だという。

 三浦は起業時に、2023年までに従業員1万人の雇用を創出していくという目標を掲げた。その雇用を実現するために、実際に電話営業を行なうスタッフが在宅でも勤務できるようにしている。主婦、障がい者、家庭で親の介護に携わる人など、就労困難な人に就業機会を提供している。これは社会貢献活動の一環ともいえる。現在、同社の電話営業スタッフ約150人のうち3割を電話営業を経験している主婦が占めている。ちなみに、在宅スタッフは、コールセンターのスタッフに比べ単価が安く、クライアントにとってもメリットがあるという。

 創業以来、増収増益を続けるアイドマ・ホールディングス。今回の画期的なクラウドシステムのリリースで、新たなステージに入った。3年後をメドに株式公開も予定している。

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