日本負荷試験テクノ株式会社 菅嶋大輔

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菅嶋大輔(すがしま・だいすけ)

1972年生まれ。2003年10月、BtoC向け事業で創業。以来、個人、一般家庭向けの商品、サービスを中心に事業を多角化。17年4月、日本負荷試験テクノ株式会社を設立した。日本負荷試験テクノ株式会社
http://fukashiken-techno.jp/

特集法令改正の追い風を受け ニッチな世界に可能性を見出す

1.法令改正の追い風を受け ニッチな世界に可能性を見出す

あまり信じたくない話だが、2011年の東日本大震災時、約7割もの非常用発電機が正常に作動しなかったという。
 
非常用発電機というのは、「いざというときに、消火栓ポンプ、スプリンクラー、排煙口などを動かす重要な機械」のことだ。少し大きめのビルには設置されており、国内に130万台あるといわれている。

冒頭の事態を受けて、12年6月、消防法が改正され、1年に1回、非常用電源施設には負荷試験点検(非常時と同じような負荷をかけ、個々の機械が正常に作動するかを点検する)が義務付けられた。
しかし、にもかかわらず、現実には負荷試験点検はあまり広まってはいない。相応のコストがかかるうえ、一定時間、施設を停電させる必要があるからだ。
 
こうした状況のなか、従来方法と比べコストは約3分の1、無停電かつ短時間で負荷試験を行なう企業が登場した。消費者向けビジネスを長年手掛けてきた菅嶋大輔が、新たに設立した日本負荷試験テクノである。
同社は、17年4月の創業ながら、施設オーナー、管理会社、消防点検業者に、負荷試験点検の重要性をていねいに説明していくことにより、受注実績を拡大してきている。
「BtoCの営業・販売では『顧客のために手間を惜しまない』という考えのもとで頑張ってきた。このビジネスでも同じような対応を心がけている」
(菅嶋氏)
 
これまで、都内消防署で実施したのをはじめ、大手デベロッパーのマンション、病院、老人ホーム、商業施設などさまざまな施工実績がある。官公庁からの信頼も厚く、区役所、市役所、小中学校などからの依頼も増えているという。
 
このビジネスを始めるにあたって菅嶋は「安心して暮らしていける社会づくりに貢献していきたい」と熱く語っている。しかしその一方でベンチャー経営者らしく「ニッチな分野だが、ストック型ビジネスになるうえ、法令改正による追い風もある」と参入を決めた。同社の今後の成長から目が離せない。

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