エッジ・テクノロジー株式会社 福本 英之

Guest Profile

福本 英之(ふくもと・ひでゆき)

1975年生まれ。学業修了後は大手飲食チェーンに入社。知人の誘いを受けて、97年にシステムエンジニアとして証券会社に入社。プログラムの組み方を一から学び、さまざまなプロジェクトに従事するなど幅広い経験を積む。その後、独立してフリーのエンジニアとして活動を開始。大手企業のシステム開発に複数携わる中で、CTIの新たなサービスの構想を立て、2017年、仲間とエッジ・テクノロジーを立ち上げた。

特集開発経験豊富なSEが創業 シンプルで効率よいシステムを提供する

1.難しそうな技術を わかりやすく提供する

「エッジ(edge)」という言葉は、とくにベンチャー志向の企業の間では「端や縁にある」という原意から「(技術などが)とがった」「鋭い」という使い方をすることが多い。ところが、エッジの持つ別の意である「(刃物の)刃」から、(細かくして)「わかりやすく」「使いやすく」するという思いを込めて、社名に冠しているベンチャー企業もある。エッジ・テクノロジーがそれだ。「難しいと思われている技術(テクノロジー)に切り込みを入れてわかりやすく提供する会社」をめざして、2017年10月、代表取締役社長を務める福本英之が仲間3人で立ち上げた会社だ。
 福本は、橋本龍太郎内閣が日本の金融市場を活性化するために打ち出した「金融ビッグバン構想」が吹き荒れるなか、1997年にSE(システムエンジニア)として大手証券会社に入社した。インターネットの黎明期だったが、汎用機による基幹システムを担当。SEとして9年の勤務の後、フリーとして独立することになるが、その間、強く抱き続けたのが「システム側が作り手側の事情をユーザーに押し付けている。本当にこれでいいのか」という思いだった。
 フリーのSEとして活動を続けるなか、「自分たちの力で、エンドユーザーの思いを再現できるシステムは何か?」が、福本の頭の中には常にあった。約1年前に、そのヒントをつかんだのが、福本自身がよく利用するスポーツマッサージ店での予約システムだった。

2.個店の予約システムに 大きなチャンスあり

「毎回、電話で予約を入れていたが、いつもフルネームの確認がある。どうしてだろうと不思議に思い、店長に頼み込んで、予約システムの裏側を見せてもらった」
 現場を見て、あまりの雑さに驚いた。証券会社で自ら携わってきた顧客管理システムは、電話とパソコンシステムとの連携が取れており、顧客から電話が入ると、パソコン画面上には、誰からの電話で、その人の取引履歴が表示されるようになっている。このシステム自体は業界標準で、決して先進的なものではなかったことから、福本は顧客管理を必要とする多くの現場で同じようなシステムが導入されていると思い込んでいた。ところが現実は違っていた。
「電話と予約は全くの別もので、電話を受けたスタッフはその都度、表計算ソフトや手書きの表上で予約時間とマッサージ担当者を入力する方式。しかも、お客さんの希望(指名があるか、だれでもいいか)と担当者のひも付けができていないため、電話を受けたスタッフがフリーのお客さんに担当者として店長を入れたり、店長を希望するお客さんに新人を充てることも頻発していて、結局、店長が後から予約表を確認し修正することもあった」
 個店営業が多く予約を必要とするような業態(ホテル、パーソナルトレーナー、整体など)をいくつか調べていくと、どこも似たり寄ったりの状況だった。「これならチャンスがある」と思い、対象となる事業者のマーケット規模を調べてみると、500万件程度はありそうだということがわかった。そこで福本は確信し、以前、同じ職場で働き、現状のシステム開発の方法に福本と同じ疑問を抱いていた2人に声をかけ、会社を立ち上げることを決意。さっそく予約管理システムの設計書づくりに取り掛かった。

3.創業間もない同社に 公的機関から引き合い

現在、初期タイプのものが完成し、トライアル利用も進んでいる。ほとんど営業らしい営業もできていない状態だが、複数の事業者からすでに本格利用に向けてのオファーも入っているという。
 今後の営業戦略としては、整体、エステ、ネイルサロンなどの施設を紹介するサイトとのシステム連携と、個店経営の事業者へのシステム提供を考えている。
「同様のサービスよりも安く価格設定し、通常オプション扱いになる回数券の発行、料金先払いへの対応、リマインドメール(予約確認)の配信などすべてのサービス込みの、わかりやすい一律料金にした」
 同社が他社より安く提供できるのは、福本自身を含めシステム開発の経験豊富なスタッフがそろっていることに加え、公開されているプログラムを活用するなどして、すべてのシステムをイチからつくる必要がないからだ。また、ユーザーにとって使いやすく、信頼できるシステムでさえあれば、ユーザーが望む以上のスペックを搭載しないという方針もコストダウンにつながっている。必要以上のスペックは、ユーザーにしてみれば「なんであるのかわからない」機能であり、それこそ福本が証券会社勤務時代に疑問に思っていた「システム側の押し付け」であり、創業の精神に反するものだ。
 福本は最近のアプリのプログラミングにも疑問があるという。
「スマホのアプリでもプログラムの書き方がより複雑になり、プログラムの行数がどんどん増えている。流行りの技術を使いたがるために、プログラムが複雑になってしまうということもある。人間でも同じだが、プログラムの行数が多ければ多いほど、機械自身が読むことや理解することが大変な作業になりハードへの負荷も大きくなる。そのため大容量のスペックをもつハードでしか使えなくなってしまう。しかし、プログラムの命令内容だけ見れば、もっとシンプルで効率よく機械にも人間にも分かりやすく、スペックに頼らないソフトができるのにと思う」
 エッジ・テクノロジーの「テクノロジーをわかりやすく提供する」という考え方は、少しずつだが、着実に理解され始めている。というのも、創業間もない同社に、とある公的機関から「電子カルテのフォーマット統一化」の引き合いが入ったのだ。同社では前進に向けて検討をスタートしたところだ。

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