株式会社コマースゲート 井上裕基

Guest Profile

井上 裕基(いのうえ・ひろき)

1975年、京都府生まれ。1998年立命館大学理工学部卒業後、日本オラクル株式会社入社。2003年6月アクセンチュア株式会社に入社。2004年11月株式会社サイバーエージェントに入社。2006年2月フジテレビラボLLCに入社、フジテレビジョン子会社設立に携わり、動画投稿&共有サイト「ワッチミー!TV」の立ち上げ。2007年7月株式会社コマースゲートを設立、代表取締役社長に就任(現任)

特集大ヒット商品に甘んじず、ヨソをすべて断って入るような人材を次々に採用

1.大ヒット商品を生み出した事業計画前倒しの拡大戦略

 『夜スリム トマ美ちゃん』という大ヒット商品がある。トマトに含まれるリコピンを抽出したダイエットサプリで、2011年のリリースから話題を呼び、累計販売数300万個を突破した。

 このサプリを製造・販売しているのが株式会社コマースゲートだ。9月締めの売上げ目標50億円に対して、48.8億円の結果を出し絶好調。しかし、代表取締役社長の井上裕基は冷静に現状を見つめていた。

「数年前から行なっていたビジネスモデルの刷新が結果に繋がったが、これだけの結果が出たのは、ヒット商品のお陰でもある」(井上)

 当時を振り返り井上は「一過性のものであることもそうだが、大手のナショナルブランドが本気を出したらひとたまりもなく、奪われてしまう」と危機感を感じていたというのだ。そこで急遽、事業計画を前倒しに拡大戦略を行なった。ネットから紙、そしてテレビCMまで大急ぎで作り、旬を逃さなかった。また、ブームが起きても次の新製品の開発を停止せず、次を見据えた動きを始めていた。

 結果、6年で売上げ50億円の企業となった同社だが、井上は「実際は売上げ30億円程度の企業」と考えている。

「でも折角、利益をあげさせてもらった。つまり世の中に投資をして貰ったわけです。だから、この利益と時間は人を育てるために使う。そして、本来あるべき実態に追いつかせる」(井上)

2.成長意欲の高い社員を採用する時の社長の責務

 井上は、人材への投資もコミュニケーションのための時間も惜しまない。設立数年は毎週、十数人の従業員と面談をして悩みを聞いていたほどだ。また、『夜スリム トマ美ちゃん』以前に出したヒットで得た利益もほとんどを人材の確保につぎ込んだ。

 その時の人たちが今も、専務や取締役として残ってくれている。

「やはり企業は人。変な話ですが1人の人間の平均を70点として、自分が少し優秀で90点だったとします。しかし、70点の人が10人集まったら700点。自分だけでは到底無理。だから、自分より優秀な人がこの会社には何人いるか。どうやったらそういった人たちが集まってくれるかをすごく考えた」

 ただその分、社長としての責務も大きくなる。

「成長意欲の高い人が集まっているため、会社が成長しないとポジションを与えられない。彼らを幸せにするためには、成長は絶対だ」(井上)

 また、昨年から新卒採用を始めた。来年度入社に向けた内定者も現状で8人。彼らはすでに働いており社員並み、いやそれ以上の成果を出している。

「他の企業にも行けたけれど、うちに来たというような人材ばかり。それぐらいの人でないと大きなことは成し遂げられない」

 さらに、新卒採用はまだ終わっていない。いや、正確には通年採用をしている。人数上限も設けておらず、優秀な人材はいつでも採用するスタンスでいるのだ。

 今後の目標としては、通販業界で圧倒的ポジションをとれる会社を目指している。そのためには、新しい商品開発はもちろんのこと、シナジーを起こせる新規事業なども積極的に行なっていく予定だ。

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