大槻経営労務管理事務所 社会保険労務士法人 大槻 智之

Guest Profile

大槻 智之(おおつき・ともゆき)

1972年東京都生まれ。94年4月入所。2006年1月社会保険労務士登録。銀座支社長、統括局長を経て代表社員となる。13年12月株式会社オオツキMを設立、人事交流会・海外進出サポート・各種セミナー、人事スクール事業を提供するオオツキMクラブの運営を開始。また、同月に海外進出サポート充実のためOTSUKI M SINGAPORE PTE,LTD.を設立し代表取締役に就任している。2010年3月明治大学大学院経営学研究科経営学専攻博士前期課程修了。経営学修士。

特集創業時から実践し続ける信頼の三原則  「誠心誠意尽くす」、「約束を守る」、「知ったかぶりをしない」

1.上場企業含む500社以上の 顧客企業を抱える

「社会保険労務士(以下、社労士)は、弁護士と同じように国家資格者であり、労働に関わるトラブルを取り扱うのですが、弁護士とは決定的に違うところがあるんです。弁護士は、社員か企業どちらかの味方であり依頼主が勝つよう全力で闘うのですが、社労士は、両者にとっていい着地点を見出せるよう支援します」

社労士の役割についてこう語るのは、大槻経営労務管理事務所の代表社員大槻智之だ。

「当所に依頼される企業は、そもそも社員と争いたいとは思っていません。なかには自分の思い通りに進めたいという企業もありますが、企業の持続性を考えたときにベストなのは、社員ときちんと折り合いをつけていくことなんです。依頼主には、まずそうした考えを持ってもらう必要があることをお伝えします。その上で、本気で改善していく気があれば依頼をお引き受けしますが、ごまかすことを求められるようであればお受けしません。それが結局は、当所の信頼にもつながっていくからです」

設立45年の大槻経営労務管理事務所は、現在、上場企業をはじめとする500社の顧客を抱え、取り扱う労務相談数は年間7000件に上る。「労務コンサルティング」を主軸として、「社会保険手続きのアウトソーシング」や「給与計算の代行」も手掛ける。職員はグループ全体で102名。うち4割が有資格者だ。

2.人間力が求められる 労務コンサルタント業務

採用にあたり社労士としての実務経験は問わない。実際、前職も社労士だった人は少数で、以前はフリーターであったり、飲食や自動車業界の出身であったり役職員のバックグラウンドは実に多彩だ。

「応募条件を未経験OKにしている珍しい事務所です。労働・社会保険諸法令を知っていることはもちろん大切ですが、労務コンサルタントとして支持されるために一番必要なのは人間力だからです」

新卒の採用にも力を入れる。大槻氏の言う人間力の有無を採用時にどう見極めるのか。

「まずは一緒に働きたいと思える人かどうか。そして当社の経営理念や『信頼の三原則』に外れる考えを持っていないかを見ていきます」

創業時から全スタッフの行動指針として掲げる信頼の三原則とは、「誠心誠意尽くす」、「約束を守る」、「知ったかぶりをしない」こと。

「どれも特別なことではありませんが、この業界では最も大切なことです。例えば、クライアントから法令の相談を受けた時に、その場で何となく答えてしまい、後で間違っていることがわかったというのでは、絶対に信頼を得られません。職員は皆、物事を判断するとき常にこの三原則から外れていないかを確認する。45年間、変わらずに実践しているのはそれだけです」

3.各種研修制度を設け ステップアップをフォロー

企業の「今」と「未来」を支援する関連のサービス会社として、今BPO(ビジネスプロセスアウソーシング)を含めて、ビジネス領域の拡大を目指す同所。独立開業を前提として働く人が多いといわれる同業界で、いま、「長く勤めて一緒にいい社会をつくっていける同志」を求めている。そのために職員の給与、賞与、福利厚生の充実を図りつつ、一人一人の成長につながるフォロー体制も整える。職員は入社後2年間、社会保険手続きのアウトソーシング業務に携わり、その後、「労務コンサルティング」「社会保険手続きのアウトソーシング」「給与計算の代行」業務の中から希望するコースを選択していく。近年は、管理職に就くことを望まない人も少なくないことから、特殊技能を有し成果を出す人材には、管理職と同等の報酬や処遇である専門職としてステップアップしていく制度も導入している。

理念研修のほか、マナー研修や英会話など職員のスキルアップにつながる各種研修制度を設けている。ユニークなところでは、文章の書き方講座や話し方講座なども。

「希望する職員には、執筆や講演の業務なども積極的にチャレンジさせています。その際、資格を持っていた方が仕事の幅が広がりますが、『よりよい社会をつくりたい』という志と行動力があれば、資格がなくてもまったく構わない。失敗しても諦めないでチャレンジし続ける人をとことん応援します。そして周りの頑張っている人を全力でフォローし合える集団になりたい。その仲間になってくれる人材を求めています」2014年1月には、海外進出する顧客の労務管理や社会保険サポートを目的にシンガポールに事務所を設立した。

「当所の名誉会長(創業者の大槻哲也氏)は、全国社会保険労務士会連合会の最高顧問を務めていることもあり、銀座オフィスには来日したアジア各国の要人がよく視察にお越しになります。現在、社労士制度の導入を検討している国もあり、日本独自であるこの制度が今後、アジアに出て行く可能性がある。その時に一番手として、海外にも働きやすい会社をつくっていきたい。『働きやすい会社』の存在は、『働きやすい社会』へとつながっていくからです」

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