成長の秘策ゴチになります!

HOST

株式会社ベネフィット・ワン
代表取締役社長

白石 徳生氏

リョービ株式会社
代表取締役社長

浦上 彰氏

GUEST

Guest Profile

浦上 彰(うらかみ・あきら)

1965年広島県生まれ。89年3月早稲田大学教育学部卒業、92年5月サンダーバード・スクール・オブ・グローバル・マネジメント(サンダーバード国際経営大学院)卒業。国際経営学修士。89年4月リョービ株式会社入社。2003年6月執行役員就任、05年6月取締役就任。11年6月代表取締役社長に就任。

第32回これからのトップの役割は 健全な危機感の醸成と 社員のマネジメント力向上

1.手がけるアルミダイカストは 90 %以上が自動車向け

リョービさんはどういった事業からはじまったのですか。

私の祖父が戦時中の1943年に創業し、社名を「菱備製作所」としてスタートしました。当時は三菱電機様からの依頼でアルミニウムを使ったダイカスト製品の製造を始め、航空機の部品などを納入していました。ダイカストとは、精密な金型に溶かしたアルミニウムなどの合金を流し入れて瞬時に成形する技術や製品のことです。表面が滑らかに作れますし、高い寸法精度で複雑な形状の製品を量産することができます。

戦後は何を製造するようになったのですか。

アルミニウムの鋳物の技術を生かして何が作れるかと試行錯誤しました。電力メーターの文字車、二眼レフカメラ用のボディ、ステーキ皿、などさまざまなものを手がけましたが、戦後のモータリゼーションの中で自動車部品の需要が高まり、47年から自動車メーカーとの取引を開始し、以後その割合が大きくなりました。

いまでもそうですか。

そうですね。当社は現在、90%以上が自動車関係です。アルミダイカストは軽量でリサイクル性に富むという特長から、自動車部品への採用が増えていて、日本全体では約
90%が自動車向けとなっています。

そうなんですか。

他の事業については1960年代にオフセット印刷機、ドアクローザ、釣具、電動工具などの完成商品を製造・販売し始めました。釣具はもともとリールの製造・アセンブリー(組立)を米国から請け負っていたので、完成商品をやってみようと手がけたものです。パワーツール(電気モーター、エンジンを動力源とする工具)については、当社が部品の製造を請け負っていたお客様が製造部門を廃止するということで、当社で生産するようになりました。そうやってさまざまな商品を作り、事業の多角化を進めることで会社の力をつけてきました。

OEMでやっていたことが自社での生産につながったと。リョービさんは、実際はBto Bが圧倒的なのに、エンドユーザーから見て会社の知名度が高いですね。

釣具事業で幅広くCMをやっていたので覚えていただいているのでしょうね。

確かに釣具のイメージが大きいですよね。

釣具は2000年に営業譲渡していますので、それから随分経つのですが、いまもよく言われます。ところで1980年代に入ってからは海外展開が本格化してきまして、1985年にアメリカの企業とJVでダイカスト事業の会社を設立しました。それが現在のリョービダイキャスティング(USA)INC.です。また88年には海外でパワーツール事業をもっと伸ばそうと米国シンガー社のパワーツール部門を買収しました。

2.製品の企画段階から サプライヤーの 力が試される時代

いま海外売上高の比率はどのくらいですか。

会社全体では50%弱が海外です。

かなりの割合ですね。

ただ買収したシンガー社の事業は2000年に売却しています。その頃、釣具やゴルフ用品などの事業も売却等を行ないました。一般にはリョービ=釣具のイメージが強かったので、釣具事業を譲渡するときには「じゃあリョービは何をするんですか?」と言われたりもしました。しかし釣具事業から撤退する当時の売上高は会社全体から見ると4%程度にすぎませんでした。

そうでしたか。その当時の社長はどなただったのですか。

私の父が社長を務めていました。自分で始めた事業を自分の手でたたむことになりましたので、それは断腸の思いだったと思います。

自動車産業というのは波が激しくて大変だとよく聞きます。

1980年代のバブル前後の頃で言いますと、国内は三菱自動車、海外ではフォードから安定した注文をいただいていました。しかし、特定のメーカーに依存しすぎてはいけないと考え、国内、海外ともに自動車メーカー・車両関連会社との幅広い取引を進めてきました。

なるほど。早めに手を打たれていたのですね。

現在、製造業はサービス業に近い役割を期待されています。取引先との間で、新商品の企画・開発の段階から一緒に関わらせてもらうことも増えていますが、営業効率を考
慮すると、どことどのように関わるのがよいのか、考える必要があります。その一方で、当社でしかできない技術も磨いていかなければいけないと思っています。

3.ダイカストの海外展開は 〝地産地消〞

ところで、浦上さんが社長を継がれたのはどんなタイミングですか。

リーマンショックから少し経った2011年の就任で、事業の整理が一段落した後でした。

社長に就任されてからとくに意識されている経営課題はどんなことですか?

就任前から決まっていたことですが、ダイカストの海外展開ですね。ダイカストはニーズのある場所で作ってそこで売る、いわば〝地産地消〞です。見える化を含め、いかに海外での事業をマネジメントしていくかが課題です。

弊社も海外での人材マネジメントの大変さを痛感しているのですが、トップは日本から送り込んでいるのですか。

海外のトップは現地の状況を考慮して、米国やメキシコ、英国では現地の人間で、中国やタイでは日本人がトップを務めています。

トップの報酬についてはどうですか。日本レベルが基準ですか、それとも現地に合わせた高い水準ですか。

現在の当社の海外トップは現地法人立ち上げの頃から苦労を共にしてきた関係ということもあって、日本レベルの待遇に理解をしてもらっています。ただ今後、世代交代を進
めていくなかでは、検討が必要になるかもしれません。

これからの課題ということですね。最後になりますが、経営者として一番大切な役割は何だとお考えですか。

私がいま考えているのは、「健全な危機感の醸成と社員のマネジメント力向上」です。

それは私も同感です。どんな考え方でやられているのですか。

ゴーン氏(ルノー取締役会長兼CEOカルロス・ゴーン)の「コミットメント経営」を参考に、明確な目標を設定し、細かなマイルストーンを切って、短いインターバルで確
認していこうと。欧米風に聞こえるかもしれませんが、要するに仕事をやりっぱなしにしない、上司が部下の話をしっかり聞きながら進めていくというむしろ日本的なことです。

勉強になりました。本日はありがとうございました。

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