株式会社ジェナ 手塚 康夫

Guest Profile

手塚 康夫(てづか・やすお)

慶応義塾大学環境情報学部在学中より複数のモバイル関連ベンチャーに参画し、2006年に㈱ジェナを設立。創業時より法人向けのモバイル事業を展開。09年に法人向けのスマートデバイス総合サービスを開始し、14年現在、スマートデバイス向けアプリ開発では国内トップクラスの実績を持つ。 《Company Date》 株式会社ジェナ 業 種 ● スマートフォン、タブレット端末等のアプリ開発および導入支援を中心とした      総合サービス、PC・モバイル・スマートフォンのデザイン制作およびシステム開発ほか 設 立 ● 2006年3月 資本金 ● 1億7330万円 所在地 ● 東東京都中央区京橋2-5-18       京橋創生館11F 電 話 ● 03-5524-1888 URL ● http://www.jena.ne.jp/

特集100社での開発実績をもとにアプリ開発ツールを提供、顧客の営業力強化を支援する

1.中小企業でも手軽に専用アプリがつくれる

 現代のビジネスシーンに欠かせないツールが、スマートフォンやタブレット端末だ。しかし、数年前まではその活用は大手企業に限られていた。ビジネス用の情報ツールとして活用するためには自社専用アプリケーションの開発が必要だが、その開発には数百万円以上のコストがかかるからだ。

 いまではクラウドサービスによるテンプレート(ひな型)を使った低価格のアプリ開発サービスが登場し、中小企業でも手軽に自社専用アプリを開発できる環境が整ってきている。

 たとえば、カタログや営業資料をクラウドサービス上で保存しておけば、いつでもどこでもタブレット端末やスマホから閲覧することができる。従来のように、訪問先で相手が求める商材のカタログや資料が手元になく、せっかくの営業チャンスを逃してしまうといった失敗もなくなる。タブレット1台あれば、商談内容に応じたタイムリーな提案が可能になり、ビジネスチャンスの拡大につながるというわけだ。

 ビジネスアプリとひと口にいっても多種多様だが、企業からのニーズが強いものに「カタログ」「アンケート」「eラーニング」「ファイル」「サイネージ」といったものがある。

 テンプレートを使えば、最小限の機能からアプリ開発を進められるというのがメリットだ。まずはプロトタイプを導入し、自社のビジネスにマッチするように継続的に改善していくといった取り組みも可能だ。日々、変化のスピードが早く激しくなるビジネス環境、顧客ニーズ、IT技術の進化を考えると、じっくり構えて大きなシステムを組むよりは、簡易なアプリ開発サービスを利用して現場のニーズに合ったものをタイムリーに制作していくほうが効率的だし、コストも安くすむ。それに何より、実際に活用する現場レベルで制作できるという点が大きい。

 すでにさまざまな業種・業態でスマートデバイスのビジネス活用が進んでおり、大きな成果を上げている企業も少なくない。タブレット5~10台規模の導入でも営業力の強化を十分図れるという。

 スマートデバイスのビジネスアプリのように、端末や時と場所も選ばず業務に必要な情報に一瞬でアクセスできるビジネス環境が整い、ワークスタイルも大きく変化している。ビジネスツールの主役も、いまやPCではなく、肌身離さず持ち歩くスマホやタブレットにとって変わられようとしている。いつまでも「電話とPC、足で稼ぐ」といった時代遅れのやり方に固執していては、優秀な人材の確保も難しくなるかもしれない。

2.IPadの活用を支援する「Seap」

 こうしたスマートデバイスによる自社専用アプリ開発をサポートしているのが、2006年3月に創業したジェナだ。スマホ黎明期からスマートデバイスのビジネス活用に取り組み、100社以上に対し、国内最大規模の500を超えるアプリ開発実績を誇る。同社代表取締役手塚康夫は次のように話す。

 「これまで当社ではお客様と一緒に考えながら、一つひとつカスタムメイドでアプリを開発してきた。このようなプランニングやコンサルティングのノウハウ、幅広い業種・業態の事例をたくさん蓄積していることが当社の強み」

 スマートデバイスのビジネス活用はほんの数年前から始まったばかり。同社のように豊富なノウハウを持つ企業は極めて少ない。

 そうしたノウハウを生かし、同社が開発したのがiPadのビジネス活用をサポートするクラウドサービス『seap』だ。これを使えば、カタログやアンケート、eラーニングなどのビジネスアプリをブラウザ一つあれば、誰でも簡単に作成できる。

 使用料は月額定額10万円に抑えられているから、中小企業にも利用しやすい。しかも、利用できるユーザー数や作成できるアプリ数は無制限。12年のサービス提供開始後、現在までに約5万台のデバイスで稼働している。

3.短期間・低コスト、特別なスキルも不要

 では実際、「seap」はどのように活用されているのだろう。

 ある総合建材メーカーでは、全営業スタッフにiPadを導入し、自社開発したカタログアプリやeラーニングアプリで営業力の強化を目指している。

 以前は外注先に依頼してアプリを開発していたが、打ち合わせ時間や納期、コストなどの効率化を図るため、「seap」に切り替えたという。社内で制作できるため、営業担当者のニーズにきめ細かく対応できる点や、こまめに更新できる点などが高く評価されている。

 また、営業部の新人研修用にeラーニングアプリも開発。営業活動の流れを動画で学習できるほか、確認テストで理解度を試すしくみも導入している。社員からは「視覚的に学べるからわかりやすい」「実際の営業前にも手軽におさらいできるのが便利」と好評だ。

 さらに、コストの削減効果も見逃せない。従来の外注方式に比べ、制作期間は半年から2週間程度に短縮され、約4割のコスト削減も実現した。

 専用アプリの開発というと、どうしても難しいイメージがつきまとうが、「seap」の場合、プログラミングやデザインなどの専門知識は一切不要だ。ごく普通にPCを使えるだけのスキルがあれば、誰でも簡単につくることができる。システム開発部門のスタッフや技術者の力を借りなくとも、そのツールを最も必要としている部門の人間が自らが使いやすいと思ったものを作成できるわけだ。

 操作方法もいたってシンプル。

「とくに、iPadやiPhoneには使いやすいアプリが多く、ユーザーはその操作性に慣れていますから、少しでも使いにくければ、ストレスを激しく感じます。ですから、当社ではユーザビリティを重視し、初めての人でも感覚で使いこなせるシンプルなインターフェースを心がけています」

 スマホ黎明期から営業力強化のためのツールとしてスマートデバイスの「自社専用アプリ開発」をリードしてきたジェナ。いまはその先を見据え、パーソナルロボットやウェアラブルデバイスのアプリ開発など、新たなジャンルにも挑戦中だ。

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